カテキンとは
カテキンとは、お茶の葉や芽に含まれる渋み成分でポリフェノールの一種です。一般に『タンニン』と呼ばれてきましたが、タンニンを形成する成分の一部がカテキンなのです。エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートの4つに分かれ、水分を除く総重量の約10~20%を占めています。
名前の由来としては、インド産のマメ科アカシア属の低木ペグノキ(別名「アセンヤクノキ」)の樹液から採取される『カテキュー』に由来しています。
1821年、スイスの化学者「F.F.Runge」が、『カテキュー』から無色結晶状の物質の分離に成功し、約10年後に、「Nees von Esenbeck」が『カテキン』と命名しました。
根拠のない由来として、「カテキュー」に含まれているという呼び方「カテキューイン」が省略されて「カテキン」と称されるようになっているという話や、カテキンの効果をわかりやすく説明するために、「菌に勝つ」を「勝て、菌に」という説明をしたことから、「カテキンは勝て菌から名付けられた」という話などがあります。
茶のタンニン(カテキン)の研究は、1830年頃から始まり、「C.Mulder」が茶葉のタンニンは糖と没食子酸と結合したものであるとし、1847年「F.Rochelder」は、茶葉中に没食子酸を含むタンニンが存在する事を確認、1867年「H.Hlasiwetz」は、実際に茶を希硫酸と加熱して没食子酸を分離、このフェノールカルボン酸が茶タンニンの構成成分であることを証明しました。
カテキンの化学構造の研究が始まったのは、20世紀になってからです。 1927年、東京帝大の「山本頼三」は、緑茶よりカテキン類似の物質を分離し、1929年、日本初の女性農学博士「辻村みちよ」は世界で初めて、カテキンを結晶状に単離する事に成功します。翌年、同じく渋味成分であるタンニンを結晶として取り出し、その化学構造を明らかにしました。
部位 | 茶期 | エピカテキン | エピカテキンガレード | エピガロカテキン | エピガロカテキンガレード | 合計値 |
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一芯一葉 | 一番茶 | 1.2% | 3.3% | 3.2% | 10.7% | 18.4% |
二番茶 | 1.2% | 4.3% | 2.9% | 14.4% | 22.8% | |
第二葉 | 一番茶 | 1.4% | 2.3% | 5.2% | 8.2% | 17.1% |
二番茶 | 1.4% | 2.9% | 4.7% | 12.5% | 21.5% | |
第三葉 | 一番茶 | 1.3% | 2.0% | 5.0% | 6.4% | 14.7% |
二番茶 | 1.3% | 2.1% | 5.2% | 9.4% | 18.0% | |
第四葉 | 一番茶 | 1.3% | 1.7% | 4.5% | 5.6% | 13.1% |
二番茶 | 1.2% | 2.1% | 4.7% | 8.9% | 16.9% | |
茎 | 一番茶 | 3.0% | 1.4% | 4.0% | 3.4% | 11.8% |
二番茶 | 2.1% | 1.4% | 3.9% | 4.3% | 11.7% |
茶業試験場研究報告より
メチル化カテキンとは、ポリフェノールの一種で、お茶の葉に最も多く含まれる「エピガロカテキンガレード」の一部がメチル化されたものです。
日本で最も多く生産される「やぶきた」の品種には含まれず、「べにふうき」や「べにふじ」など紅茶用の品種などに含まれています。しかし、紅茶を製造する際、酸化酵素の働きでメチル化カテキンが消失してしまう事が明らかになりました。そのため、メチル化カテキンを利用するためには、緑茶などに製造する必要があります。