お茶に適した水について
水は人類にとって最もありふれた液体であり、すべての既知の生命体にとって、水は不可欠な物質です。核や細胞質で最も多い物質でもあり、細胞内の物質代謝の媒体としても使用されています。質量にして生物体の70%~80%が水によって占められていて、人体も60%から70%程度が水です。
お茶と水
お茶を淹れる際に、どのような水が適しているかを考えてみたいと思います。まず、お茶に対する水質について、PH、鉄、カルシウム、マグネシウム、塩素は、茶の水色や香味に影響することがわかっています。
水の硬度について
水の硬度は、カルシウムとマグネシウムの量を炭酸カルシウム量(CaCO3)に換算したものを硬度としています。日本では分かりやすく、硬度100mg未満を軟水、それ以上を硬水と呼んでいるが、『世界保健機関』では、硬度0~60mgを軟水、硬度60~120mgを中程度の軟水、硬度120~180mgを硬水、180mg以上を非常な硬水としている。硬度の高い水で茶を浸出すると、味が淡白になり、香りも薄く、浸出液は白く濁ります。
水のPHについて
PHとは、水素イオンの指数で、酸性・アルカリ性の程度を表します。PH7が中性、PH7より小さければ酸性、大きければアルカリ性となります。PHとお茶の関係は、酸性になると抽出液の色が薄くなり、アルカリ性になると赤黒みになります。
塩素について
塩素イオンが多くなると、抽出液の香りは塩素の不快臭になりやすくなります。塩化ナトリウムが多くなると抽出液に塩味を感じる様になり、渋味は低下するものの味は悪くなります。
水質基準
お茶に適する水質は、前提として水道法の省令で決められた水質基準をクリアし、飲用に適する水でなくてはならない。
水質基準項目(50項目)
項目 | 基準値 | 区分 | |
---|---|---|---|
1 | 一般細菌 | 1mLの検水で形成される集落数が100以下 | 病原生物による汚染の指標 |
2 | 大腸菌 | 検出されないこと | 〃 |
3 | カドミウム及びその化合物 | カドミウムの量に関して、0.003mg/L以下 | 無機物・重金属 |
4 | 水銀及びその化合物 | 水銀の量に関して、0.0005mg/L以下 | 〃 |
5 | セレン及びその化合物 | セレンの量に関して、0.01mg/L以下 | 〃 |
6 | 鉛及びその化合物 | 鉛の量に関して0.01mg/L以下 | 〃 |
7 | ヒ素及びその化合物 | ヒ素の量に関して、0.01mg/L以下 | 〃 |
8 | 六価クロム化合物 | 六価クロムの量に関して、0.05mg/L以下 | 〃 |
9 | シアン化物イオン及び塩化シアン | シアンの量に関して、0.01mg/L以下 | 〃 |
10 | 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 | 10mg/L以下 | 〃 |
11 | フッ素及びその化合物 | フッ素の量に関して、0.8mg/L以下 | 〃 |
12 | ホウ素及びその化合物 | ホウ素の量に関して、1.0mg/L以下 | 〃 |
13 | 四塩化炭素 | 0.002mg/L以下 | 一般有機物 |
14 | 1、4‐ジオキサン | 0.05mg/L以下 | 〃 |
15 | シス‐1,2‐ジクロロエチレン及びトランス‐1,2‐ジクロロエチレン | 0.04mg/L以下 | 〃 |
16 | ジクロロメタン | 0.02mg/L以下 | 〃 |
17 | テトラクロロエチレン | 0.01mg/L以下 | 〃 |
18 | トリクロロエチレン | 0.01mg/L以下 | 〃 |
19 | ベンゼン | 0.01mg/L以下 | 〃 |
20 | 塩素酸 | 0.6mg/L以下 | 消毒副生成物 |
21 | クロロ酢酸 | 0.02mg/L以下 | 〃 |
22 | クロロホルム | 0.06mg/L以下 | 〃 |
23 | ジクロロ酢酸 | 0.04mg/L以下 | 〃 |
24 | ジブロモクロロメタン | 0.01mg/L以下 | 〃 |
25 | 臭素酸 | 0.01mg/L以下 | 〃 |
26 | 総トリハロメタン | 0.1mg/L以下 | 〃 |
27 | トリクロロ酢酸 | 0.2mg/L以下 | 〃 |
28 | ブロモジクロロメタン | 0.03mg/L以下 | 〃 |
29 | ブロモホルム | 0.09mg/L以下 | 〃 |
30 | ホルムアルデヒド | 0.08mg/以下 | 〃 |
31 | 亜鉛及びその化合物 | 亜鉛の量に関して、10.mg/L以下 | 着色 |
32 | アルミニウム及びその化合物 | アルミニウムの量に関して、0.2mg/L以下 | 〃 |
33 | 鉄及びその化合物 | 鉄の量に関して、0.3mg/L以下 | 〃 |
34 | 銅及びその化合物 | 銅の量に関して、1.0mg/以下 | 〃 |
35 | ナトリウム及びその化合物 | ナトリウムの量に関して、200mg/L以下 | 〃 |
36 | マンガン及びその化合物 | マンガンの量に関して、0.05mg/L以下 | 〃 |
37 | 塩化物イオン | 200mg/L以下 | 味 |
38 | カルシウム、マグネシウム等(硬度) | 300mg/L以下 | 〃 |
39 | 蒸発残留物 | 500mg/L以下 | 〃 |
40 | 陰イオン界面活性剤 | 0.2mg/L以下 | 発砲 |
41 | ジュオスミン | 0.00001mg/L以下 | カビ臭 |
42 | 2‐メチルイソボルネオール | 0.00001mg/L以下 | 〃 |
43 | 非イオン界面活性剤 | 0.02mg/L以下 | 発砲 |
44 | フェノール類 | フェノールの量に換算して、0.005mg/L以下 | 臭気 |
45 | 有機物(全有機炭素の量 | 3mg/L以下 | 味 |
46 | PH値 | 5.8以上8.6以下 | 基礎的性状 |
47 | 味 | 異常でないこと | 〃 |
48 | 臭気 | 異常でないこと | 〃 |
49 | 色度 | 5度以下 | 〃 |
50 | 濁度 | 2度以下 | 〃 |